正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ストレスとうつ病

現代社会はストレス社会、社会的、精神的ストレッサー(ストレスの原因となるもの)が増加しています。
また、社会の仕組みが複雑で、さまざまなストレッサーが同時に複合的に個人に影響していることが多いです。
そのため、以前とは違ったストレス問題を起こしています。そのひとつとして、うつ病になる方が増えています。
現在では25人に1人はうつ病であり、また、5人に1人は一生に一度はうつ病になるといわれています。
日本では精神科神経科でカウンセリングを受ける習慣がありませんので、
ストレス問題が大きくなってから、あるいはうつの症状が出て不適応症状を起こしてから受診になる傾向が強いです。

ですが、うつ病のためのお薬はよいものがあり、良好な経過をたどり60~70%が良くなります。
しかし、途中で服薬を中止した場合、再発したり、難治性のうつ病になる場合がありますので、要注意です。
難治性うつ病は30歳未満と60歳以上に多く、夫婦関係の不良や経済状況の悪化など、
社会的支援に乏しい場合、あるいは症状が改善すると自己判断ですぐ服薬を止めることなども原因となります。

ストレスの恐ろしさは、ストレスが細胞内の情報伝達物質を変化させ、神経内分泌に変化をもたらすことです。
その結果、脳内遺伝子にも影響を及ぼし、うつ病となるのです。
憂鬱な気分が続いたり、興味や喜びの減退、食欲不振、体重減少、睡眠障害、焦燥感、
疲れ易さ、気力減退、集中困難、決断困難もその症状です。
軽いストレスでも、細胞内のカルシウム濃度が増え、軽度の遺伝子発現障害、樹状突起の軽度形態変化、
シナプス伝達効率が低下し、うつ病になります。
これが重度の場合、細胞質・核内のカルシウム濃度が増大し、
遺伝子発現障害、細胞障害、ニューロンの萎縮・変性、難治性うつ病となるのです。
ご自分の身体の悲鳴に敏感になることも大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」208号(2003年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
北海道大学 大学院保健科学研究院 生活機能学分野 教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。