痴呆という病気
お年寄り自身が恐れているもののひとつに、痴呆になることがあります。
自分が家族や自分のことがわからなくなってしまうのではないかという不安、
家族に迷惑をかけてしまうのではないかという不安が大きいのです。
痴呆は記憶力が悪くなる病気です。食事をしたばかりなのに、
「御飯はまだか?食べさせてくれないのか」と言ったり、
財布をしまった場所を忘れて「誰かがとった!」などと被害妄想につながる場合もあります。
年をとれば誰でも、物忘れが出現します。
しかし、老化によるお年寄りの「ど忘れ」や軽い意識障害の時に起こるもの、
あるいはうつ状態などに現れる物忘れとは区別する必要があります。
軽い意識障害は、薬の影響、薬の組み合わせ、高熱やそれに伴う脱水症状の時などに起こることがあります。
単なる物忘れは、体験の一部を忘れる、ものの名前を忘れることが多いですが、
人や場所、時間はほぼ正しく認識できるために日常生活に大きな支障をきたすものではありません。
けれど、痴呆の場合は、体験全体を忘れること、ものの名前だけでなく、物事自体も忘れてしまうこと、
人や場所、時間を正しく認識しにくくなることのために日常生活に支障をきたすことがあります。
痴呆には主にアルツハイマー型老年痴呆と脳血管性痴呆の二つの種類に分けられます。
この二つで痴呆の約八割を占めています。適切な治療で痴呆症状が改善することがあります。
痴呆が疑われたらきちんとした診察を受けることをおすすめします。
また、うつ症状、気分の落ち込み、やる気がない、
眠れない、体がだるいなどの症状があらわれることもあります。
痴呆の初期症状とうつ病の初期症状は類似する点が多いです。
医療機関で診断してもらい正しい治療を進めましょう。
二次的に起きる症状は、薬物療法、リハビリテーション、適切な対応で改善することがあります。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」225号(2004年9月6日発行)に掲載された記事です。
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