正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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いい気持ちで眠るために

早いものでもう十二月。今年は自然も人間に厳しい年でした。人間の無力さを感じる一方、それでも前に進もうとする強さを感じました。震災にあった方が暖かなお正月を迎えられますように。

自分のことを考えると、この一年は何となく、いろいろなことが他人事のようで、手応えのない一年でした。別に体の具合が悪いわけでもないし、大きな失敗もせずこなせたし、食欲がないわけでもない。なのに、なんだか感動のない一年でした。ある意味贅沢なことかもしれません。大きな心配事もなければ、病気でもない。それでも、あまりに過密なスケジュール通りの毎日で、結局どきどきするようなことがなさなすぎたのではと、分析しています。今は少し「頑張る自分」をお休みしようと考えています。寝るのが一番と思います。

「寝ても寝ても疲れがとれない」ときはどうしたらいいのでしょう。二つの原因が考えられます。ひとつは眠っているときの問題です。眠るための環境はいかがでしょう。枕、布団、室温、照明など工夫してみる価値がありそうです。ひんやりが好きか、ほかほかが好きか、ふわふわ好みか、固めがあっているのか。こういう感覚は大切です。自分の快適な感覚を意識していると、生活の中で楽で嬉しく感じられるという特典があります。好きな感触のものでまとめる贅沢、これに勝るものはありません。きっと翌朝はぐっすり寝た満足感を味わえるに違いありません。

もうひとつは起きているときの問題です。とても憂鬱なことがあり、現実の厳しさに直面しているような場合、寝ている間だけは、その嫌なことから逃げられるので、「眠りたい」というサインを身体がだしてしまうのかもしれません。辛いことがあるときに「沢山寝る」と言うことは、「沢山食べる」こと以上に意味のあることだと思います。寝て起きたのに疲れを感じるのは、防衛本能みたいのものです。時間なんてきにせずに、沢山寝てみましょう。寝ても寝ても疲れていたら、また寝ましょう。ただし、枕の高さや布団の重さが自分にあっているか、とチェックしてみて下さい。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」228号(2004年12月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。