正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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私の姿勢

前回は学生の姿勢のことを書きましたが、自分の姿勢を棚にあげてのこと。先日街中で顔をあげると、ショーウインドに映る自分の姿に気づきました。背中の丸まった疲れた姿に愕然。そういえば、健康診断で測った身長も縮んでいました。

姿勢が悪くなると、当然老けて見えます。確かに、年を取ると徐々に筋力は低下しますので、良い姿勢を維持することは難しくなってきます。重力に抵抗して支える力が弱くなるのです。特に、体幹の筋力、腹筋と背筋の筋力低下が大きなものです。これらの筋肉は、肩甲骨と股関節につながるものです。この2つの大きな関節の滑らかな動きが若々しい姿勢の維持につながります。

けれど、高齢の方で、シャキッとした姿勢の方もいらっしゃいますので、加齢による筋力低下だけで曲がってしまうわけではありません。普段からの姿勢を見直す必要があるかもしれません。

私の椅子に座っている姿勢を見てみます。椅子の座面の前の方にチョンとおしりをのせています。背もたれには背中の一部だけがついている状態。カメのような姿勢です。これで、パソコンや読書などをしていると、長時間この姿勢が続きます。この姿勢ではほとんど腹筋も背筋も使いません。筋力低下がすすむわけです。また、肩や首のコリもひどくなります。

椅子に腰かけるときは、座面の奥まで深く座り、背筋を伸ばすことを習慣とする必要があります。そして、頭の上から糸で引っ張られているイメージを持つことが良いそうです。良い姿勢をとることが、筋力アップの近道です。

とはいえ、姿勢の悪い私の話には説得力はありませんが。でも、これ以上悪くしたくないという予防の気持ちで、一緒に頑張ってみませんか。背中が丸くなるということに、良いことはありません。若いからと油断せずに、日ごろの生活習慣をちょっとだけ見直しましょう。筋トレはもちろん有効です。生活習慣を意識するならば、筋トレは毎日する必要はありません。週3回で十分です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」439号(2022年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。