正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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運動の習慣はありますか?

身体活動量の多い人、運動をよくしている人は、
心疾患や高血圧、糖尿病、肥満、骨粗しょう症などの
罹患率や死亡率の低いことが認められています。
また、身体活動や運動が精神的健康にも
生活の質の改善にも効果のあることに間違いはありません。
さらに、高齢になったときには、「歩くこと」など
日常生活の中のちょっとした身体活動が、
寝たきりや死亡を減少させる効果があると言われています。
このように生活習慣病の予防には、身体の活動量が大切です。
身体の活動量は「身体活動の強さ」×「行った時間」の合計で表すことができます。
長い目で見ますと、1日10分程度のウォーキングも、健康上の効果として期待できます。
家事、庭いじり、通勤など日常生活での身体の使い方によって、
あるいは余暇に行う趣味やレジャー、スポーツなど、
すべての身体活動が健康に欠かせないものといえます。

とはいえ、なかなか運動量を増やすことは難しいものです。
「日頃から」というのはいっそう難しく、
運動に対する意識の向上が必要となってきます。
週当たり2000㌔㌍以上のエネルギー消費に相当する身体運動が奨励されています。
1日約300㌔㌍以上の運動です。さて、300㌔㌍を消費するために
どれぐらい運動する必要があると思いますか?
レアチーズケーキだと1個分がちょうどそれくらいです。
食べるのは簡単ですが、運動量としてはけっこうなものとなります。
50キロの体重の女性が10分間草むしりや雑巾がけをして30㌔㌍です。
歩くとなると一万歩です。
なんだか気の遠くなるような、あきらめる気分になりそうですが、
日本人の1日の平均歩数は、男性が8200歩、女性が7300歩程度です。
ですからもう1000歩、もう10分歩くことを意識する必要があるということです。
歩いてみる気持ち、おきましたか?


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」193号(2001年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。