正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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マスクの下は・・・

私の住んでいる街にも観光客が増えています。新型コロナウイルス蔓延以前には戻れないかもしれませんが、もう少しという感じがします。その観光客の写真撮影で少々驚いたことがありました。グループの一人がシャッターを切る際の「チーズ」の声かけ。マスクをつけているので「チーズ」と声をそろえても、口角があがっているかわかりませんが、けっして笑顔には見えませんでした。

他人事ではありません。マスクの下の私の顔はどんなになっているのでしょう。大きな声で笑うことがはばかられ、おしゃべりの機会も減りました。大きな声を出す機会は激減しました。顔の半分がマスクに隠れていますので、表情を表に出すこともなく、ぼそぼそ会話が多くなったのではないでしょうか。

マスク生活は顔の筋肉を使うことを確実に減らしたと感じます。顔の筋肉、表情筋は使わないと、腕や足の筋肉と同じで、衰えてしまいます。表情筋の衰えは顔のたるみにつながります。口角が下がり、ほうれい線が深くなり、皴も増えているかもしれません。顔の筋肉の衰えは、活舌を悪くしていると考えられます。人と目を合わすことをさけ、下を向いていることが多いと、背中も丸くなり、二重顎になり、首の皴も増えているような気がします。マスクを外すことが普通になった時、私はどれほど老け顔になっただろうか。考えると恐ろしい。

マスクを外す時のために、今から顔の筋肉を動かすことを始めませんか。鏡に向かって口角をぎゅうっと上げてみてください。あげているつもりでも、への字口が一文字になる程度かもしれません。頬の位置は上がりますか。なかなか難しいです。

顔の筋トレが必要です。アナウンサーが活舌をよくするために、割り箸を加えて声を出す話を聞いたことはありませんか。割り箸を前歯で軽く加え、上の歯が8本程度見えるように口角を上げるのです。そして、「イー」と声を出します。効果的のようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」447号(2023年3月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。