正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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すべての人に健康を まずは自分・家族から

健康ブームです。ですが、世の中があまり健康には感じられないのも事実です。

健康は「身体的、社会的、精神的に完全な良好な状態であって、単に疾病がないとか、虚弱でないということではない」とWHO憲章で定義されています。健康は理想的な状態というよりは、目的達成の手段と考えられます。なので、実用的な意味合いからは、健康は資源、人が個人的あるいは社会的な生活を導く資源と考えるわけです。健康になることが目的ではなく、健康だから大切なことができる、健康でなければ、大切なことは達成しにくいということです。なので、健康になるために、これを食べなくては、こうしなくてはならないと、生活を無理に変えるのは、おかしなことです。

ヘルスプロモーションとは、人が自ら健康をコントロールし、改善できるようにする過程です。その過程には、社会や政治的なことも含みます。個人が努力するというだけではなく、公衆衛生や個人に悪影響するような社会、環境や経済的状況を変化させることも含んでいます。ヘルスプロモーションで大切なのは、自己管理や相互援助、健康的環境を通して、要望戦略をたて、私たちの抱える問題を克服していくことです。

「すべての人に健康を」、すなわち、社会的・経済的に見て豊かな生活を送ることができるような健康のレベルに、すべての人が到達できることを目指しているわけですが、これを目指すには、社会がどうも不安定です。できるところから始めなくてはなりません。まずは、自己管理。自己管理とは、自分の健康や、家族の健康のために行う行動や決断です。

ご家族で健康とは何かをあらためて考え、自分にとって大切な意味ある作業に参加できているか、楽しんだり、社会の一員として貢献できているのか、見つめ直すことも、健康教育のひとつになると思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」252号(2006年12月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。