正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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不安な状態から自分を解放するために

前回もお話ししましたが、重い軽いにかかわらず、心を病む人が確かに増えています。
うつ病、対人恐怖症、無気力、不眠症、自信喪失、登校拒否に出社拒否、拒食症などなど。
ストレスを抱えていると、身体に影響が出てしまいます。
といっても、ストレス全てを避けて生きていくわけにはいきません。
適切な刺激がないと、人間は間違いなくボケてしまいます。
必要なのは過剰なストレスの対策を自らが持つということです。
病気になってしまったときには、信頼できる病院で治療を受けることをおすすめしますが、
不安な状態から自分を解放してあげること、そして心や体の悲鳴に敏感になることがその予防として大切です。

不安になったり、気持ちが滅入ったりする原因にはいくつか考えられることがあります。
ひとつは孤独感、さびしさからくるものです。人間は何かに所属していると安心できます。
組織に、会社に、学校に、サークルに、所属すると満足で、ハッピーになります。
逆に、「知らない場所にわたしはひとりぼっち」そんな状況におかれたときは、不安でたまらなくなります。
どうしようもないさびしさに振りまわされてしまいます。
新年度がスタートして一月、ちょうど今そんな状態に陥りやすいときかもしれません。
これにはある種の開き直りが必要です。「結局人間はひとりである。生まれる時も、死ぬときもひとりである。」
このように受け止められないと、ネットで知り合った人と自殺するということになるのかもしれません。

もうひとつは自己否定によるものです。理想像と現実の自分の違いに納得いかない。
自分の欠点が気になってしまうと陥ります。
理想の自分に近づく努力は立派ですが、人間そう変わることはできません。
欠点だって長所だって人の考え方によって違います。
けれど、そう思えないときには、自己否定をするしかなくなります。
自分が自分を大切にする、そうしないと誰が大切にしてくれるのでしょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」209号(2003年5月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。