正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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ちょうどいい距離感の人間関係

孤独に不安を感じたり、年を取ることを恐ろしいと考えたりしたことはありませんか。あるいは、他人に干渉されることなく、自分の思うままに生きたいと考えることはありませんか。

確かに、人間関係は大きなストレスの原因になります。人に頼りたくないとか、迷惑をかけたくないと思うことも多いかもしれません。ですが、できないことは人にやってもらっても、全く問題はありません。ただし、自分ができることを少しだけ他人に提供できるなら、かなり楽になると思います。

私たちが居場所を探す時は、居心地を考えると良いでしょう。

その場所を好きだと思えるかどうか、居心地が良いかを重視するのです。家族でも仕事でもないのに、いやいや関係を築くことほどストレスになることはありません。

すべてを断ち切って、新しいものを作ることはとても大変です。古いものと縁を切りたい場合を除いては、まずは近い友人、知人を大切にすることです。

これまでの関係を見直していくのです。関係がとぎれないようにすることをお勧めします。特に、年代の近い友人や知人は貴重な存在です。何でも話せて信頼のできる人は、同年代の友人や付き合いの長い知人だったりするものです。

最終的に心を癒してくれるのは時間かもしれません。その時に、一緒に食事をしたり、話を聞いたり、隣にいてくれる人がいると、心を癒してくれるのが早くなるようです。辛い思いを抱えていて誰かに聞いて欲しい時、本当に助けられるのは隣で「そうだよな」と受け止めてくれる人のようです。

新しいものに飛び込んだり始めたりも大切な時がありますが、そこで新たな人間関係を築いたりするのは、なかなかエネルギーが要ります。なじめなかったら嫌だとか、通うのが面倒だと、つい躊躇してしまう人もいるでしょう。人付き合いが苦手と思っている人にお伝えしたいのは、無理しなくていいということ。頑張る必要はありません。いやなら逃げ出すこともいいのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」465号(2024年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。