正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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冬眠から目覚める

日の出の時間が早くなり、陽ざしが春めいてきました。何となくうきうきしてきます。新たなスタートを切る方もいらっしゃるでしょう。春はいろんな可能性を感じさせてくれるときでもあります。

実は、季節になりやすい病気、季節性うつ病(冬期うつ病)というのがあります。十一月頃になると、うつ病の症状が出始め、一月から二月にかけて、症状がおもくなります。特に夕方になると眠くなるのが特徴です。
三月になると、その症状はだんだんと軽くなっていきます。

もともと、うつ病は太陽の光と強い関係があります。そのため、日照時間の短いところでは、うつ病患者が多いといわれるほどです。
冬の日照時間が少ない時期になると元気がなくなってくるのです。

体がだるく、仕事に身が入らない。人と話すのも億劫で、気がふさいでしまう。こんなことは、誰もが日常によく経験することですが、医学的にはこれを「鬱状態」といいます。こんな状態を訴えて、精神科を受診される方は増加しています。

季節性うつ病は、一般のうつ病と同様に、うつ状態のあいだは憂うつ感、イライラ感、不安感に苦しみますし、億劫で元気が出ないなどの意欲低下があります。しかし、他のうつ病と違って、よく食べ、よく眠り、よく太るため、なかなか気がつきにくいのです。

もし、冬に元気がなくなり、甘いものばかり食べていて体重が増えるようなら、一度はクリニックに相談することも必要かもしれません。

うつ病には太陽に当たる治療効果がいわれています。特に、朝日を浴びることです。冬期うつ病は、いわば冬眠のようなもの。冬眠から目覚めるためにも、自律神経の切り替えが必要なので、光の刺激が大切なのです。しゃーっと勢いよく、カーテンを開けることで、一日を気分良く過ごすことになるのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」267号(2008年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。