正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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寺、墓、葬儀にかかるカネ

タイトルは、ある週刊誌の表紙に書かれていたものです。思わず購入してしまう、老後が気になる年頃です。この情報によると、地域や宗教、考え方によりますが、葬儀費用の平均は二三一万円だそうです。この金額が故人にとって遺族にとって望む供養なのか、よく考えるべきという特集でした。①どんな供養をして欲しいか、②どんな墓に入りたいか、③どんな葬儀をして欲しいか、の順に考えるのだそうです。遺族がどうなるかをまず考えるべきということでしょうか。

四十代の半ばも過ぎると、充実したセカンドライフを送りたいと考え始める人が多いようです。理想の生き方、環境や経済状況は人によってさまざま。老後は夫婦一緒に悠々自適という姿はなかなか難しいかもしれません。

二〇三〇年には一人世帯(ひとり暮らし)が三七%になると言われています。結婚しない人も増えていますし、子どもとの同居の問題も考えられます。家庭をないがしろにしてきた夫や妻は、まずはこのあたりを修復することが大切かもしれません。家事から親の介護まで、家の中のことは全てどちらかにおまかせというのは、もはや通用しない。食事だけではなく、身の回りのことぐらいは、自分でできるようにしておいた方がよいでしょう。それは将来の備えにもつながります。夫は妻に自分より長生きして欲しいと願う人が多いようですが、それがかなうとも限らないからです。

老後くらい、誰からも文句を言われずに気ままに暮らしたいとも思います。ただ、好きなことのためにはネットワークを作り、誰かとつながっている、誰かの役に立っているという感覚は大切なようです。学生の卒業研究に、ボランティア前後の意識変化を調査したものがあります。何かのお役にたてたらとボランティアを始める人が多いのですが、経験後は自分のために継続すると変わります。何かに役立つ自分はかっこう良く満足感が持てるようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」278号(2009年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。