入試の季節 もうすぐ春
本格的な入試の季節になりました。受験生を持つご家庭にとっては、日々緊張の時と思います。代わってあげるわけにもいかず、頑張れと励ましても、ストレスが増しそうだし。親も子もなかなか辛い。実は、試験監督も辛いのです。
今や多くの大学では、八月から三月まで何かしらの入試を抱えています。推薦入試にAO入試、編入学。センター入試に、前期・後期の二次試験。大学院入試がこの合間に入ってきます。志願者の数に一喜一憂しながら、学校説明会も多いのです。
入試の試験監督は、受験生がつつがなく試験を受けられるよう気を配ります。公平な実施のためにマニュアル通りに説明し、あとは静かに試験監督。もちろん、居眠りをするわけにもいかず、本を読むわけにもいかない。大学入試の長い試験は一二〇分あります。受験生も大変ですが、試験監督にも辛いのです。数を数え間違わないこと、狭い教室の中を受験生の机にぶつからないように動き回ること、こわばった表情にならないことなど、年を取ると難しくなることが監督の課題です。
普段はあっという間に過ぎる時間が、針が止まったのかと思うほどゆっくり過ぎていく。仕方がないので、いろんなことを考えます。おかしな妄想をするわけにはいきませんが、受験生の鉛筆を動かす姿を見て、「ああ、この子はこれまでこんな風に勉強してきたのかなあ。大学に入ったら、こんな風に勉強してほしいなあ。大学卒業後は・・・」といった空想です。勝手に人の人生を想像し、良い春になって欲しいと本当に思うのです。
そんな空想力を持たないと辛い試験監督ですが、しかし、受験生の集中力はすごいです。あと十分と告げられた後も、手が止まることなく書き込んでいる。若い力を感じます。入試で勝つためには、この最後まであきらめないことと集中力だと実感します。普段の勉強の中で、あと十分となった時もそこからどれだけ集中できるか。そんなトレーニングが必要です。多くの受験生に良い春が来ますように。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」291号(2010年3月5日発行)に掲載された記事です。
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