正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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延びる平均寿命

少し前に、厚生労働省から2009年の日本人の平均寿命が発表されました。女性は86・44歳となり、25年連続で長寿世界一。さらに、前年より0・39歳延びたものです。男性は、79・59歳。世界第5位であり、前年より0・30歳延びました。この延びは、主に心臓疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが理由と分析されています。医療の進歩による寿命の延びといえますので、今後もさらに延びていくことが予想できます。昭和50年の調査では、女性の平均寿命は76・89歳でしたから、35年で10歳ほど延びていることになります。

飛躍的に延びた寿命ですが、あくまでも「平均」のことです。ある調査によるとストレスの多い職業の人は、定年後すぐに亡くなる人が多いという結果もあります。寿命を延ばせばよいというものではありませんが、寿命を延ばすためには健康管理が不可欠です。

平均寿命から、病気やけがなどにより自立した生活ができない期間を引いたものを「健康寿命」と言います。量だけではなく、質にも注目されたものといえます。日本の場合、平均寿命と健康寿命の間には、およそ6年~8年の違いがあるといわれています。老年期は、人生の集大成となる時間であり、本来は最も自由な時間に恵まれているときです。この時期をいかに生きるかを示すことが大事であり、人としての重要な役割と考えます。その実現のためには、健康であることはひとつの手段であり、心地よい生活を続けることが重要と思います。

65歳まで生きている確率は男性では86・7%、女性では93・6%です。これが、90歳まででみると、男性は22・2%、女性は46・4%になります。人生50年の時代ではありません。どんな生き方をするのか、何が自分にとって大切なのか、望む生活スタイルを真剣に考えておく必要がありそうです。前向きに考えることそのものが、老化を遅らせるという研究結果もあります。生き方の問われる時代です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」296号(2010年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。