正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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普通のことを当たり前に

「どんなときに健康だと感じるか?」

年配の方たちに話を伺う機会がありました。積極的にボランティア活動をされている方の多い、健康の超エリート集団でしたので、一般的なこととはいえないかもしれません。それでも、「なるほど!わかる、わかる」と思うことでした。

健康だと感じるとき。よく眠っておいしく食べられる時、好きな時に好きなように歩ける時、地下鉄の階段を昇ろうと思える時、自分で決めたスケジュールをこなせる時、大きな声が出せるとき、趣味に積極的に参加できる時、若い人とおしゃべりできた時、出かけた先で待っている人がいる時、期待されていると感じる時、ラジオを聞いて夜更かしした時、ちょっとおしゃれができた時、ときめいた時、弱った人と比較した時。

みなさん他の方の話を、うなずきながら聞いていらっしゃいました。共通して話されていたことは、「こんな日常の普通のことが、普通に当たり前にできること」でした。

私たちは、普通のことや当たり前のことには、なかなか気がつきません。病気や障害を持ってはじめて、当たり前のことができるありがたさに気がつきます。できなくなったことを悔み、弱くなった自分を感じます。

今回、お話してくださった方たちの強いところは、当たり前で普通だから何もしていないのではないことです。積極的に努力されていました。たとえば、運動もウォーキングもひとりでは続けることが難しいので、サークルに入る、あるいは、お友達と一緒にする。ぐっすり眠るために、疲れるほどの運動をする。落ち込んだ時にちょっとぜいたくな好物を用意しておく。おいしく食事をいただくために、作ってくれる人の話をよく聞き、感想と感謝を伝える。

そして最後は、自分の身体は自分で守る覚悟をする。そのため、必要な情報は集めるけれど、決して鵜呑みにはしない。試してみる。確認する。これらを実践している人には、かなわないと思いました。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」303号(2011年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。