正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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夏バテ防止・熱中症予防に

和歌山県が、岩手県の避難所と仮設住宅で生活する東日本大震災の被災者約1万2000世帯にまとまった量の梅干しを送りたいということで、約6トンの梅干しを届けることになったそうです。梅干しは、食中毒予防や食欲促進の効果のほか、熱中症予防に役立つ塩分の補給も期待できるものです。有効に活用されることと思います。

人間の身体は高温多湿の状態になると、体温を一定に保とうとして、必要以上のエネルギーを消費し、身体にかなりの負担をかけることになります。多くの場合は、その負担に耐えられるのですが、毎日続く負担は大きく、暑さに対応することができず、身体にたまった熱を外に出すことができなくなり、熱が出たり、胃腸の働きが弱ったりします。これが続いた状態のことを「夏バテ」といいます。

夏バテの3大原因は、自律神経の不調、水分不足、胃腸の働きの悪化といわれています。

汗をかいたり、血管を広げたりして体温を逃がし、暑さに対応しようとするのは自律神経の働きです。暑い外から冷房の効いた部屋に入っても、身体は気温の変化にすぐには対応できません。この変化をくりかえすと自律神経は疲れてしまうのです。これがひどくなると、頭痛やめまい、食欲不振を起こします。湿度の高さもその原因のひとつといわれています。汗をしっかりかいて、体温調節を行うことが重要なのです。

汗をかくには、水が必要です。十分に補給しないと、頭痛やむくみなどがおきます。体内の塩分も不足し、胃酸も減ってしまいます。なので、冷たいジュースやビールは、胃腸の温度を急激に下げ、消化酵素の働きを低下させてしまいます。胃腸の働きが落ちると、体力は減少し、疲れはたまる。ますます自律神経の働きが悪くなる悪循環に陥るのです。

梅干しには塩分とクエン酸が含まれています。クエン酸は疲労回復に効きます。汗をかいた後の塩分補給にもなります。大量に発汗するときの脱水症予防には、梅干しは良いのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」308号(2011年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。