正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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秋の醍醐味

勤め先の北海道大学のイチョウ並木は、380メートルの道路の両側に70本の銀杏が植えられたものです。秋の黄葉は圧巻です。大勢の観光客やご家族連れが、鮮やかに色づいた木々の下を散策し、深まる秋を楽しまれています。まさに、秋の醍醐味。何度見てもその美しさに魅了されます。紅葉もきれいに色づき、しばし楽しむことができそうです。

もちろん秋の楽しみは、自然を愛でるだけではなく、食が一番に上がるのではないでしょうか。食欲の秋です。秋は穀物や果実の実りの時期です。季節に関わらず食材が手に入るようになったとはいえ、やはり旬のものはおいしい。しかし、今年は、安心して食することに注目した年でもありました。放射能と食の関係、食中毒のなどの健康被害が多くニュースとなりました。安全と、安心の違いが気になり、食への信頼の意味を認識しました。

この他、秋といえば読書の秋。少々古いデータになりますが、2008年の文化庁の調査によると、1カ月の読書量は、16歳以上の国民の46・1%が1カ月に1冊も本を読んでいない結果が出ています。これには、雑誌や漫画は除かれています。1~2冊読んでいる人は36・1%です。過去(2002年)の「調査結果では、全く読まないと答えた人が37・6%でしたから、6年間で10%以上読まない人が増えているそうです。実は、2010年は、「読書年」、読書振興の年とされ、政官民協力のもとで、文字・活字文化振興のためにあらゆる努力を重ねる活動しようとされていました。どれほどの効果があったのかわかりません。ご存知でしたか。

本は、思想や考え、知恵の成果の集大成であると思います。本から得るもの、読書の習慣をつけることは、社会文化レベルを高める上でも重要なこと。本を読む余裕と時間ができるといいなあと思います。

スポーツの秋。これは東京オリンピックの開催時期のためと言われています。おいしく食べた分、身体を動かす。身体のためには必要な「秋」なのかもしれません。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」311号(2011年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。