正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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人間ドックを受けていますか?

日本人間ドック学会から、昨年の人間ドックの受診状況の調査結果が公表されました。それによると、すべての検査項目で異常が見られなかった人の割合は、全体の7・8%だったそうです。この結果は、去年の0・6ポイント減であり、集計を始めた1984年以降で過去最低を更新したものだそうです。その原因は、受診者の高齢化がいわれています。

また、この学会のアンケート調査結果では、昨年の人間ドックを受診し調査協力をした313万3484人のうち、すべての項目が「異常なし」あるいは「軽度の異常ではあるが、現在心配なし」だったのは、24万4115人だったそうです。これに対して、生活習慣病関連の6つの検査項目で、「要経過観察」や「二次精査が必要」と判定された人の割合は前年度より増えています。「肥満」が27・6%で前年より0・1ポイント改善されていた他は、「肝機能異常」が33・3%(6・3ポイント増)、「高コレステロール」が29・8%(2・5ポイント増)、「耐糖能異常」が23・2%(2・9ポイント増)、「高血圧」21%(2・2ポイント増)、「高中性脂肪」が15・3%(1・5ポイント増)と増加していたそうです。

異常がない人の割合が減っている原因として、先の高齢化の問題に加え、検査項目が増えたこと、検査の判定の基準が厳しくなっていることがあげられています。経済的問題や社会環境の悪化によるストレスの大きさも原因と言えます。ストレスは免疫機能を高めてくれません。ストレスをためないというのは難しいですが、ストレス解消の工夫は大切です。

さらに、人間ドックで敬遠しがちな、栄養指導や運動指導の意味はより大きくなってくると思います。アルツハイマー病になりやすい人には、喫煙習慣、低身体運動、中年期の高血圧、糖尿病、中年期の肥満などが多いと言われています。ボケないために、老けないための食習慣や運動習慣を見直すことが必要なのです。

背筋を伸ばして、お腹を引っ込める。これだけでも少し若く見えます。その気持ちが大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」321号(2012年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。