働けない理由
けがや病気などによって働くことのできない状態を就業障害といいます。この就業障害で30日以上にわたって休職した人のうち、約7割はうつ病などの精神疾患が原因だったことが、ある調査でわかりました。精神疾患に続き、がんが8%、脳出血などの脳疾患が5%、事故・外傷が4%でした。
精神疾患による休職者の割合の変化で見ると、2000年は36%だったのが、毎年増えて2009年にはピークの71%に達しています。しかし、2010年からは2年連続で69%とわずかではあるが減少しています。この理由は、精神疾患による休職者が多い若年層の割合の減少があります。また、企業のメンタルヘルスケア対策が進んでいることなどの影響だとみられています。
精神疾患の中でも、特にうつ病が多いのですが、うつ病の特効薬は、思い切った休養です。仕事を続けながら治療するより、思い切ってしばらく仕事を休んでしっかり休養、つまり休職した方が、治りが劇的に早くなることが多いのです。
そもそも、なぜうつ病になるのでしょうか。Holmesのストレス尺度(社会再適応尺度)というものがあります。過去1年間に受けたストレスの合計がある値を超えただけで、5割以上の人がうつ病等のストレス性疾患を発症することがわかりました。つまり、うつ病を引きおこすのは、溜まりすぎたストレスといえます。ストレス耐性には個人差がありますが、ストレスは特別なものではありません。この尺度では、「配偶者の死」が最も大きなストレスで100ですが、「結婚」は50です。「退職」は45など、人生の大きなイベントもストレスで加算されますが、「休暇」13も「クリスマス」12もストレス度がついています。
ストレスになるものはたくさんありますので、たまりすぎたストレスをいかに発散するかが大切なことといえます。ストレスが溜まりすぎて耐えきれなくなり、脳が疲れ果ててうまく働けなくなった状態がうつ病なのです。特別なものではありません。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」322号(2012年10月5日発行)に掲載された記事です。
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