中年期の運動は老年期を左右する
アメリカの大規模観察研究で明らかになったのが、中年期のフィットネス、適度な運動が老年期の慢性疾患の減少につながることです。この報告によると、フィットネスのレベルの高い人では、寿命の延長だけでなく、慢性疾患になる時期も遅くなる。その結果、一生のうちに病気に悩まされる期間が短くなっていたそうです。
この報告は男女約1万9千人を対象に、26年の追跡調査。フィットネスのレベルは、トレッドミルでどの程度早く、長く走れるかというもの。5つのグループに分けています。中年期のフィットネスレベルが最も高い人では、最も低い人に比べ、70歳以降の慢性疾患にかかる率が低い傾向にありました。この慢性疾患とは、たとえば、アルツハイマー病(認知症)、大腸がん、肺がん、うつ血性心不全、慢性腎疾患、慢性閉塞性呼吸疾患、2型糖尿病、心疾患です。そのため、フィットネスレベルが高いほど、病気にならない期間が長くなり、かかる病気も少ない傾向もあり、寿命も長くなるわけです。
追跡中に死亡した2400例の分析からは、死亡前の病気になる傾向が見えてきます。フィットネスレベルの最も高い人では、死亡前5年間で慢性疾患にかかる率が低いことに加え、フィットネスレベルの最も低い群に比べて4つ以上の病気を持って過ごす期間が50%短いこと。逆に、慢性疾患が一つまたはゼロという状態で過ごす期間は34%長かったそうです。
それでは、中年期の健康状態を高めるためにはどうすると良いのでしょう。運動を行った時に、安静にしている状態の何倍のカロリーを使ったかを表すのがMETsです。METが1上昇するごとに、慢性疾患の発症の危険性は6%低下します。たとえば、安静時が1METsで、散歩は2・5METs、ヨガやストレッチなどのコンディショニング運動は2・3METsです。今話題のなわとびは12・3METsとなります。毎日の運動がやはり大事なようです。
http://www0.nih.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf
(国立健康・栄養研究所)
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」327号(2013年3月5日発行)に掲載された記事です。
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