正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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チョコレートの効用

末梢動脈疾患という病気をご存知ですか?足や手の動脈が動脈硬化によって狭くなったり、詰まったりして、血液の流れが悪くなることでいろんな症状を招く病気です。

少し歩くと足のしびれや痛みのために歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになるなんてこと、ありませんか。この症状にはいくつかの原因がありますが、末梢動脈疾患もひとつとされています。

足の血流が悪くなるために生じるしびれや痛みは少し休むと回復します。ですが、悪化すると、足の筋肉がやせてきて、じっとしていても足が痛むようになります。さらに、足に潰瘍ができたり壊死したりすることもあります。

診断は比較的簡単な方法で発見することができます。血管のエコー検査で発見されます。重症になると足の手術が必要となることもあります。そうならないためには、早期発見が大切です。

この危険因子には喫煙、高血圧、高コレステロール、肥満、運動不足が上げられます。禁煙を心がけ、適度な運動を習慣づける必要があります。

イタリアの研究報告に、チョコレートの効用を研究したものがあります。足の動脈に問題のある人が、ダークチョコレートを食べたところ、直後に歩行距離と速度が少し改善したそうです。ダークチョコレートには、ポリフェノールが豊富に含まれています。ポリフェノールが動脈を広げる生化学物質に影響を及ぼし、血流を改善すると考えられているようです。

今回の研究では、ミルクチョコレートでは効果が得られなかったそうです。ポリフェノールは赤ワインに含まれているのが有名です。厳密に言うと赤ワインではなく、ぶどうに含まれています。その他、緑茶、ゴマ、大豆、りんご、たまねぎやしょうがにも含まれています。運動しながら摂取しやすいものとして、ダークチョコレートは効果的といえるでしょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」344号(2014年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。