正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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糖尿病の予防に

糖尿病は血糖値が高くなる病気です。体を動かすエネルギー源のブドウ糖は、血液の流れにのって必要とされる細胞へ運ばれます。血液中にブドウ糖がどのくらいあるかを示すのが血糖値です。糖尿病になるとブドウ糖が血液の中にあふれてしまいます。これはインスリンというホルモンが不足したり、うまく細胞に作用しなくなったりするためです。

血糖を下げるインスリンは、食後に血糖が上がらないように調節する働きがあります。また、血糖中のブドウ糖を細胞に送り込み、脂肪やグリコーゲンに変えて、エネルギーとして蓄えておく働きもしています。そのため、インスリンが不足すると血糖が上がります。筋肉や内臓にエネルギーが運ばれず、全身のエネルギーが足りなくなるのです。

糖尿病の予防には、食べ過ぎないことと、栄養のバランスをとることが大切です。自分がどれくらい食べているかを自覚する必要があります。加えて、運動も大切です。運動をしないと筋肉はやせて、体重が少なくても脂肪の多い体になってしまいます。そうすると、基礎代謝が減ってしまうので、同じ分量の食事でも脂肪になる分量がいっそう増えることになります。

有酸素運動とレジスタンス運動は血糖変動を改善するという研究があります。有酸素運動は体脂肪を燃やす運動です。継続的で比較的弱い力が筋肉にかかり続けているときは、体内に蓄えられている体脂肪が燃焼されます。20分以上続けることが効果的といわれています。レジスタンス運動は筋肉をつけて基礎代謝をあげることを目的とする筋力トレーニングです。無酸素運動とも言われます。酸素を必要としないので、短時間しか運動できませんが、筋肉を鍛えるものです。これを、有酸素運動だけをする群、有酸素運動+レジスタンス運動群に分けて血糖変動の分析をすると、運動から24時間後の血糖値はどちらも同じですが、両方行った群は実施直後から血糖値の低下が見られ3時間持続するので、効果的です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」346号(2014年10月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。