長生きだけでは幸せになれない
イギリスの研究ですが、自宅で生活している高齢者の10年間を追った研究があります。平均寿命は確実に伸びているのですが、健康だと感じている期間、認知機能が保たれている期間、さらに日常生活に支障がない期間はどれくらい伸びたかがわかりました。
10年間では、認知機能が保たれている期間は長くなっていました。イギリスでは、認知症と診断される人が減っていることの影響も考えられます。認知機能が障害される期間が短くなったことは、生活習慣病や教育が関連しているようです。また、主観的な健康、健康だと思う期間も伸びているそうです。
ところが、残念ながら生活障害を持つ期間は増えているそうです。この原因は肥満との関連が指摘されています。食べる量が活動のためのエネルギー量を超えると肥満になるわけですが、肥満になるとさらに精神面の不調にもつながります。これが生活に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。
人生50年と織田信長は舞ったそうですが、昭和初期までの平均寿命は50年に満たなかったようです。急激に長寿化した現在は人生80年、さらに人生100年時代も夢ではないようです。長生きすることは喜ばしいことですが、日本では4人に1人が長生きしたくないと言い、ピンピンコロリと逝くことができたなら、どんなに幸せかと思う人が少なくありません。
お金や病気、介護の心配があります。認知症になって家族に迷惑をかけたくない、そもそもかける家族もいない不安もあります。長生きしたくない社会というのは寂しい気がします。
これまで家族のために働き、社会に貢献してきたのですから、老後こそ成果を享受できる時間であって欲しいと思いながらも、1人暮らしが増えるとなかなか難しい。自然にまかせるといっても、家族の存在、ともに生活するものの存在があってこそかもしれません。ともに生活するパートナーをどう作るかは、人生のどの時期にも共通する課題です。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」362号(2016年2月5日発行)に掲載された記事です。
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