正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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お休み、とってますか?

先のことではありますが、2019年のGWは10連休になるようです。印刷を終えたカレンダー業者は対応に追われ、増えた休日対策をしなければならない企業や学校は悩みどころ。旅行にいけるとか、ゆっくり休むことができるとか、つい喜んでしまいますが、経済や仕事から考えると、休みが増えると単純に喜んではいられない状況もあるようです。

ところで、のんびり休むことの大切さは、メンタルヘルスの点からもいわれています。アメリカで有給休暇とうつ病の関連を研究したものがあります。ノースイースタン大学のものです。45歳から50歳までの男女3400人を対象として、有給休暇をとることが、うつ病を予防することができるかについて検討しています。

これによると、50歳時にうつ状態・うつ病の評価をし、その人たちの40歳時の有給休暇日数の影響を分析したものです。社会経済的な状況、身体的健康状態、労働時間などは調整されています。

結果は女性において、有給休暇が10日間追加されるごとに、うつ病になる率が29%低下していたそうです。これは男性には認められ無かったものでした。特に、2人以上子どもがいる女性では38%低下していたそうです。アメリカは有給休暇の制度が保証されていませんので、この結果は大きなものです。

一方、日本では旭川医大の研究があります。旭川市の地方公務員2100人を対象としたものです。仕事の要求度が高い男性は、要求度の低い男性と比べて、うつ病や燃え尽き症候群に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗的相互効果が高かったそうです。これに対して女性は、仕事の要求度が低い場合に、要求度の高い女性と比べて、燃え尽き症候群や不眠症に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果が高かったそうです。

仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症のリスクは高いのは間違いないですが、適切なサービス、周囲からの支えが心のケアに役立ち、さらには身体も休息するための休みを適切にとることが必要といえましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」396号(2018年12月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。