正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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女性の人生-自分らしい生き方

人生80年の時代となり、人生後半の生き方が重視されるようになっています。輝いているといわれている青年期までの20数年より、ずっと長いわけですから当然のことです。最初の4分の1で人生の良いことが終わってしまうわけではありません。

これまで、ライフサイクル、一生の変化の捉え方は男性を中心としたものでした。けれど、女性が職業を持つことが一般的となっている現在、女性の生き方や価値観を決定する上での選択肢は、男性より多彩、あるいは質の異なるものといえましょう。女性の生き方、女性であることがこれほど注目された時代はなかったのではないかと思います。

「私はこのままでいいのかしら?」、「私らしさって何?」、「私、本当は何を望んでいるのかしら?」、「私らしい生き方って何?」。こんなことをふっと考える時があるような気がします。これは進路に悩む青年期だけの課題ではありません。キャリアを積み適職を求める時、結婚や出産を考えるとき、仕事と家庭の両立に悩むとき、子育てが一段落ついたとき、離婚を考えるとき、夫が定年退職するとき、夫の死をむかえたとき、などなど、一生を通じて自分を見つめる、あるいは自分の生き方を考える機会は多くなっています。

一世代前の女性に比べて、確かに生き方が多様化し、人生を選択する機会や可能性が増えています。でもその一方で、女性の新しい生き方や価値観を受け入れる準備は、社会の中に必ずしもあるとはいえない現状です。また、個人にとっても、自分らしい生き方と家庭生活、とりわけ母親としてのあり方とは、必ずしもいつも折り合うものというわけではありません。自己の内に大きな葛藤と矛盾を抱えているかもしれません。

ライフサイクル全般にわたって女性の発達のプロセスを考えてみたいと思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」166号(1999年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。