思春期 同性・異性との出会い
思春期には親離れとともに、人との出会いが重要な課題となります。最も大切な対象が、親から友人へ移るのです。親離れの寂しさから友人とべったりになるという面もありますが、もはや親では十分に心満たされなくなっているためです。もちろん、親の存在が重要なことには変わりません。この時期の友人は、一緒にいる仲間、遊び友だちという意味だけでなく、特定の深いかかわりを持つものです。自分と同じぐらい大切と感じられる他者が登場するのです。自分と共通点を持つ人であり、同性、同年齢の存在です。この出会いにより、自分の内部にあるものが、他者と共有できることに気づくのです。共通の人間性が他者の中にも存在することを知った時、子どもはいっそう成長します。大切な友人であるからこそ、さまざまな葛藤も生じやすく、悩みとなることもまれではありません。
大人から見ればとるに足りないことも、思春期、特に女の子にとっては他のどんな悩みよりも深刻になることが多いです。いずれにせよ、思春期には自分とよく似た内面を持つ同性の友人の存在が極めて重要といえます。この次に登場する重要な他者は異性です。同性と異性との関係を作ること、これが課題です。これらの出会いをきっちり体験できることが必要ですが、今の学校や社会状況の中ではなかなか難しく、何とも深刻な問題です。親との距離の取り方、友人との関係の作り方、こんなことが社会問題としてクローズアップされるのです。核家族化、少子化、夫婦共稼ぎ、学校崩壊、介護問題など、ひとつの家庭では解決する域を越えてしまっています。未来のために解決策が必要です。
思春期には、他者を意識するのと同時に、自分に対する意識が極めて先鋭化します。それは自分の容姿や性格といった具体的なことへのこだわりであったり、より抽象的な自分とは何か、自分は何のために生まれてきたのかといった疑問である場合もあります。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」172号(2000年4月5日発行)に掲載された記事です。
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