正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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人生のまとめ 老年期

人生の終焉をどのように迎えるか。だれにでも必ず訪れる「死」。その死を受け入れることが、人生の総まとめ、究極の統合といわれ、老年期の課題とされています。

老年期には、絶望を感じさせることが多く起こります。たとえば、配偶者の死。女性は男性より寿命が長く、夫は妻より年上のことが多いため、夫の死を体験する率は高くなります。夫を失った生活へ適応することが必要となってくるわけです。また、妻として、母としての存在から、老化や病気により、守られ保護される存在へと変わります。親を世話し、夫を世話した後に、自分が子供の世話になる。よくある話です。これに、ボケてしまうのではという不安が加わると、ストレスは非常に大きくなります。

大切なものを失い、自分の体の衰えをつきつけられ、さらに何かを失うかもしれないという思いは、不安をもたらします。孤独と絶望、これにどう向かうかが課題といえましょう。

孤独の受け入れ方は、これまでの生き方が関わってきます。個々人の解決の仕方があります。そのためにも過去、人生をもう一度振り返ることは重要な意味を持ってきます。自分のありのままの人生を受けとめる態度が必要になってくるわけです。老人は過去を振り返り、過去の出来事を繰り返し話します。話したことを忘れているからだけではなく、過去を自分の中で明確に位置づけようとしているのかもしれません。過去を語ることが人生の肯定的受けとめにつながります。自分の歴史をだれかと分かち合う、大切なことです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」178号(2000年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
北海道大学 大学院保健科学研究院 生活機能学分野 教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。