般若波羅密多心経 – aum tat sat
- ヨガ
aaryaavalokiteshvaro bodhisattvo gambhiraam prajnaapaaramitaam caaryaam caramamaano vyavalokayati sma panca skandhaas asataash ca svabhaava-shunyaam pashyati sma. iha shaariputra ruupam shuunyam shuunytaiva ruupam ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
evam eva vedanaa-samjnaa-sammskaara-vijnaanam. iha shaariputra sarvadharmah shuunytaalakshanaa・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
gate gate paaragate paara-samgate bodhi svahaa.
「自在を見る(自己を知る)聖なる菩薩が深い般若波羅蜜多(最高の知恵)の瞑想修行をしていた時、人の五つの要素(色・受・想・行・識)は実在しないものと見極め、その本性は「空」であると観照した。シャーリプトラよこの世では色(姿形、肉体)は「空」であり、「空性」こそが色(姿形、肉体)である。・・・・・・・・・・
これと同様に受(感受すること)・想(想起)・行(諸行、浄化、意志、潜在作用)・識(認識すること)も「空」である。シャーリプトラよこの世では一切諸法(全ての事物)は「空性」の相をもつ。・・・・・・・・・
(この最高の知恵の核心となるマントラは不可思議で神秘な):
ガテー、ガテー、パーラガテー、パーラサンガテー、ボーディー スヴァーハー」
「般若心経」を通して仏教では「最高の知恵(真実)」を表現する為に「全てを否定する方法」で表した。そしてその核心を表そうとすると不可思議で謎の呪文となっている。
これに対しヴェーダ、ウパニシャッドから源泉の流れを汲み西洋の科学的な知見で昇華された現代のヴェーダーンタや現代ヨーガはでは「全てを肯定する方法」を採っている。
tat tvam asi (貴方はそれである:chaandogya upanishad, saama veda)、prajnaanam brahma(ブラフマンは覚知、覚醒である:aitreya upanishad, rig veda)、ayam aatmaa brahma(この自己、アートマンはブラフマンである:maanduukya upanishad, atharva veda)、aham brahma asmi(私はブラフマンである:brihad-aaranyaka upanishad, yajur veda)、aum tat sat(オーム、それが真実である:yajur veda, saama veda, bhagavad giitaa)
ヴェーダーンタが伝えるところによると:「ブラフマン(梵、宇宙、絶対存在)は全てのものから成る」と説いている。「五つの元素(地・水・火・風・虚空)から成り、プラーナから成り、vijnaana(識)とprajnaana(覚知)から成り、光(tejas)と闇(atejas)から成り、欲望(kaama)と無欲(akaama)から成り、怒り(krodha)と離忿怒(akrodha)から成り、徳(dharma)と悪徳(adharma)から成り、森羅万象宇宙に存在する全てのものから成る。そしてオーム(聖音)、タット(それ)、サット(真実)がブラフマンを指し示す三つの指標(nirdesha)である。」
これら両者、「般若心経」の「空観」による「否定する方法」で指し示しているものとヴェーダーンタに於いてブラフマンが二元相対を超え、全てを抱合する「肯定する方法」で指示しているものは正反対の方法で畢竟同じものを示しているのではないか。但し、「否定」することは禁欲や苦行、人の自然な感情を抑制・抑圧することにつながり、「肯定」することは生を喜び共有・合歓することにつながる。
パタンジャリの「ヨーガスートラ」の翻訳や解説は日本に於いても著名な仏教学者から一般人まで多数の人々によりなされてきましたが、その内容は玉石混淆と思われます。冒頭の有名な「心の働きを止滅する」ということについて、「その境地」に達していない学者たちも文献や情報を元に華麗な語句や言葉、論説で解説しています。しかし「心の働きを止滅」すれば言葉や言語を使って思考することも停止します。彼らは言語や思考を超越したものを言葉による解釈や説明で伝えることが出来ると思っているのでしょうか?
古今の聖仙、見者、覚者たちは共通して「真実、それ、最高の知恵」は言葉では伝えられないことを知り、謎のマントラや「それ」などあえて曖昧な方向性で伝えてきました。
私たち現代のヨーギンはそれを「存在」、「薫風」、「宇宙の波動」を通して伝えられ、また自らもそれを伝え共有し合歓しようとしています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」481号(2026年1月5日発行)に掲載された記事です。

