〈半夏生餅〉夏至のころ
- 鍼灸治療
一番好きな季節はと尋ねられましたら“夏至のころ”と即答いたします。
日本の国土は南北に長く、6月は梅雨でうっとうしいという地域もありましょうが札幌の6月はさわやかです。北海道出身のフォークデュオふきのとうの“初夏”という曲が思い出されるのもこのころです。
さて、冬至にはカボチャを食べるという鉄壁の定番がありますが夏至には・・・?
ちょっと調べてみました。現在は4月から5月にかけて田植えが行われますが昭和30年代頃までは6月の田植えが一般的でした。夏至から半夏生(夏至の11日後)までの間は田植えの最盛期。半夏生まで田植えを終えないと稲の収穫は半分になるといわれていたようです。その時期の農家はとても忙しく食事を楽しむ時間がなかったと推測されます。奈良や和歌山の大和地方では田植えが終わる半夏生の頃に田の神様に半夏生餅を供えて豊作を祈る習わしがあったそうです。半夏生餅は「はげっしょもち」「はげっしょうもち」と読みます。もち米と小麦を同量あわせてつき、きな粉をまぶしたお餅で小麦が混じっているのであっさりしていて蒸し暑い季節には好まれていたようです。また、福井県(大野市を中心とした地域)では半夏生の日には一人一本丸ごと焼いたサバを食べるという風習があるそうです。江戸時代、田植で疲れた農民の栄養補給のために大野藩主が鯖を食べることを推奨する令書をだしたのが由来だそうです。
その他にも讃岐ではうどん、関西では蛸を食べる、などありますが冬至かぼちゃのように全国的な鉄壁の定番はないようです。
札幌では夏至の少し前に行われる北海道神宮例大祭のお祭りのごちそうとしてかつては〝時しらず〟時鮭が食卓に上りました。そんな習慣をなつかしく思い出すこの頃です。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」354号(2015年6月5日発行)に掲載された記事です。
著者 ●鍼灸師 |
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