水(三)
「若返る」ということは、細胞をきれいにすることで、
日本人は古くから肉体の老化を防ぐために「水」を重視してきました。
1月1日を「元日」といいますが、「元」は物事の初めであり、元に戻ることを意味します。
元日の朝、いちばんに行うのが「若水汲み」。
水の上に「若」がついているように、「若返りの水」なのです。
その年の行事の始まりが、「若水汲み」であるということは、
健康を保つための「水」の重要性を強調したものだと思いますし、
朝汲んだ水のことを「井華水(いばなみず)」と呼んで、一日中で、もっとも清らかな水であり、
邪気を払い、腹の中を整え、熱気を下す効能が高い、といわれてきました。
人間の体は「水の生命体」といってもいいくらい水をたくさん持っています。
生まれたばかりの新生児は、体重の80%が水ですが、成人は60%、老人は50%以下で、
年をとるにしたがい、体内の水の割合が減少してきます。
もちろん水分の減りぐあいには個人差があります。60才、70才になっても、
肌に張りがあって、実にみずみずしい人がいる一方で、
50才前後で、早くも老人風なシワをつくってしまう人もいます。
人間の体のほぼ2/3は水です。頭のてっぺんから爪先まで、水分を含んでいない部分はひとつもありません。
体重の2%の水が欠乏すると、のどの渇きを感じ、8%を失うとめまいがおこって、判断力が低下し、
10%失うと錯乱状態になって、死亡することもあるといわれています。
体の中でできる、さまざまな老廃物を排泄する役目を果たしているのは主に肺と腎臓と大腸などですが、
肺は呼吸を通して、炭酸ガスを排出します。腎臓は、尿という体内水分の働きによって、
老廃物をその中に溶かし込んで、汚水処理場のように体外に排出しています。
大腸は食べもののカスや腸内細菌の死骸などを体外に排出しているわけです。
水の上手な補給はとても大事です。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」188号(2001年8月6日発行)に掲載された記事です。
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