正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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自分の顔と身体に責任を持つ

「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」リンカーンの言葉だそうです。幼い子どもの頃は遺伝的要素が強く、その後は育った環境が顔を作る。そして、大人になって意思が顔を作るというのは、確かなこととうなずけます。これは男性だけに言えることではなく、女性にだって言えること。40歳を過ぎた私は、笑顔の似合う聡明な顔になったかどうかはわかりませんが、年齢を重ねて良い顔になることには憧れます。その人の生き様が顔にあらわれるということでしょう。なので、自分の生きてきた歴史に責任を持て、ということなのだと思います。

おなじように、身体もそうと思います。単純に痩せればきれいになるわけではありません。年齢とともに、身体を動かすのがおっくうになったり、雑事に追われたりで、自分自身を維持管理するための時間が取れないのは事実です。さらに、面倒くさい、疲れたからいいやとあきらめが加わり、くたびれた身体になってしまいます。逆に、身体に気をつけて、年齢を加えてもしなやかな体の方もいます。身体にもその人の意思が表れているようです。

自分に甘くなっていても、他人を見ると情状酌量なんてことはなく、「あ、老けた」とシビアに判定をしています。この判定は、客観的なものですが、誰も口にはしてくれません。口にされても困りますけれど。なので、自分で気がついて、自分で責任をとることが必要なのでしょう。普段の生活にメリハリをつける。背筋を伸ばして生活するのは意外と難しいことかもしれません。

医療の進歩により、ずいぶんと長生きできるようになりましたが、楽しく幸せに、満足できる生き方は、若々しく美しく見えるなど、顔にも身体にも影響することなのでしょう。

自分の生きざまが顔にも身体にも表れる、何とも残酷な現実です。年をとるのだから、それを当たり前と考えるか、自分の人生を生きていこうと思うかは、自由なこと。それでも、いい顔で年を重ねていきたいものです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」297号(2010年9月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。