正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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春に向かう

もうすぐ立春です。しかし、今年の冬の寒さはなかなか手強い。地域によっては雪の量もかなり多いようです。毎年のことではありますが、路肩の雪の山をみてうんざりし、この雪はいつなくなるのだろうと思います。

それでも季節は春に向かいます。もう少しの辛抱です。肩に力が入って縮こまらなくても良い季節が近づいているはずです。

季節が春へと向かっている、そう感じさせてくれるものは何でしょう。沖縄では、もう桜が咲いたというニュースがありました。入学試験や卒業式、雛人形の話題も春を感じさせてくれます。花粉情報や春の新作フェアという文字も、春が来るなあと思わせてくれた気がします。陽が長くなったと感じることができるのは、立春を過ぎてからでしょうか。

私の周りでは、音を聞いて春を感じることが多いです。雪がしんしんと降る夜は静かです。雪がいろんな音を吸収もしてくれます。寒い朝は、雪を踏むとキュッキュッと音がします。この音は、いっそう寒さを厳しく感じさせます。けれど、太陽が昇って、明るくなったとたん、ぽたぽたぽたぽたに音が変わるのです。雪が解け、しずくとなって落ちる音です。この音は、雪に埋もれていても、春がそこまで来ていることを教えてくれるものです。太陽の暖かさを感じ、雪解けの音を聞くたびに、外に目をやったり、外で何かをしたくなるのは、自然のことなのだと思います。

雪が多く大変な地域の方には、本当にお見舞いを申し上げます。まだ、これからも大雪になるかもしれません。しかし、この雪があるからこそ、感じることもあるのだとしみじみ思います。春はもうすぐそこと考えるだけでうきうきとし、元気が出てくるのには、まだしばらくかかるかもしれません。けれど、もうすぐです。それまで、雪よけのために腰や肩を痛めませんように、どうぞお気をつけてお過ごしください。今度のお休みは、お出かけしようか、という気分になるお天気になるといいなあと思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」314号(2012年2月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。