正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

周囲の目を気にする・気になる

人の目が気になって不安になることはありますか?

誰だって周りの人の目が気になります。自分が周囲からどう思われているかを気にします。それは決して悪いことではありませんし、社会でうまくやっていくには大切なこととも言えます。けれど、度が過ぎると困ることがあります。人目を気にして萎縮してしまったり、自分の主張を積極的に伝えられなくなったり。そうなると、人生は楽しくありません。

他人評価をそのまま受け止めるのではなく、自分を客観的に見るために使うことはできます。「他人から見える自分」と「自分から見える自分」が同じとは限りません。他人から見える自分を知ることで、別な自分を発見するかもしれません。自己理解が進み、自己表現をしやすくなることもあります。なので、他者評価は鵜呑みにするのではなく、そういう見方もあるのだなと客観的に分析することが必要です。

まあ、「自分が考えるほど、人は私のことを考えてはいない」のですけれどね。

食の研究の中に、周囲の影響が大きいというものがあります。何をどのくらい食べるかは周りの影響が一役買っているという結果です。イギリスの研究者が、すでに報告されている15の文献を分析しました。

8件の研究は、食べ物の選択が食の規範の情報に及ぼす影響を分析していました。そのうちの7件は、これらの規範が何を食べるかを決定する際に影響を及ぼしていた。

たとえば、周りの人が低カロリーや高カロリーの食品を選択すると言うと、言われた人は同じ選択をする可能性が高いというものでした。また、周りの人が大食いをすると言うと、そう言われた人は、普段よりも多く食べることが多くなっていました。

今回の分析は、食行動は社会的に伝染する可能性があるという考え方と一致しています。食の規範が社会的集団内で自分の位置を固める方法となる可能性があるということです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」338号(2014年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。