正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ストレスを減らすために

なんとなく不安になる。気分が乗らない。そんなことはありませんか。そういう時に限って、大切な決め事をしなければならず、いっそう不安になるかもしれません。そんなときは、うつ病の治療法、「認知行動療法」が役に立つかもしれません。ものの見方や受け止め方を認知といいます。この認知に働きかけて、ストレスを軽くしていく方法です。

この方法は、こころが疲れた時、辛くなった時に役立ちます。ストレスで押しつぶされそうで弱った時、負けないと頑張るのではなく、かわしてみたり、気持ちのバランスをとってみたりする。そんな方法です。

何かの出来事があった時、瞬間的に浮かぶ考えやイメージがあります。この考え方やイメージを専門用語で「自動思考」といいます。気持ちはこの自動思考に影響されます。

たとえば、月末でお金がないという「出来事」が起こったとします。もっと計画的にしていたら、こんなことにならなかったと「考える(自動思考)」と「憂うつ(気持ち)」になります。そのとき、ポケットから500円硬貨が出てきました(出来事)。「あっ!これで何か食べられる(考え)」と思うと、安心します(気持ち)。でも、「ああ、この500円がすべてだ(考え)」と思うと、いっそう悲しく(気持ち)なります。このように同じ体験でも、それをどのようにとらえるかで、その時感じる気持ちはずいぶん違ってきます。からだの反応や行動も違ってくるのです。なので、この「考え」をいろいろできるようにしておくということです。相反する考えのあることを知ることです。

問題は「あなた」ではなく、あなたの考えです。「人」は変えられませんが、「考え」は変えられます。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」383号(2017年11月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。