正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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女らしさ、男らしさ、自分らしい生き方

「自分らしさ」を模索するのが青年期です。他者との関わりの中で「これが自分」という感覚を確立していくのです。

社会は性役割、「男らしさ」、「女らしさ」を期待します。男性の場合には、社会から期待される「男らしさ」と自分のなりたい姿の間には、さほどギャップがないかもしれません。社会の期待は、社会から好ましく評価される特性が多く、また非常に意味ある特性と受け止められているからです。男性は社会から期待される「男らしさ」にそって自分らしさを形成していけばよいのです。

これに対して、かって社会が期待する「女らしさ」は、男性に対して依存的で従順なものでした。自分らしさを求めるとき、意欲のある女性ほど、自分らしさと「女らしさ」にギャップを強く感じたのではないでしょうか。男性的とされる特性が一般に社会的に有能で好ましいものであり、女性的とされる特性は、男女いずれからも男性的特性より低く評価されるという事実は、青年期における女性の自分らしさの形成を困難にするかもしれません。自分らしさを強く望むほど、社会的に期待される女らしさから離れ、男性に期待される特性を志向することになってしまいます。しかし、女性としての自分を認めずに、「自分らしさ」の確立は困難です。

女性である自分を自分の中にしっかり位置づけるためには、女性に生まれてきた自分を認め、社会や他者からの期待を自分なりに消化し、納得できる自分を作り上げていくことが必要でしょう。

価値が多様化する今日の社会状況の中で、女性たちは漠然とした社会通念として、あるいは特定の他者を通じ、自分に向けられた様々な女性らしさにぶつかります。限られた選択肢の中から自分に合う女らしさを選んできた時代に比べ、様々な生き方が提示されています。自らの責任のもと、自分にふさわしい生き方を選択しなければならないのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」173号(2000年5月8日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。