ダイズ
ダイズ製品といいますと、みそ、しょうゆ、豆腐、湯葉、納豆、
煮豆、油揚げ、煎豆、きな粉、おせちの黒豆など、
ダイズは私達日本人にとってなじみの深い加工食品の原料になっています。
豆腐や湯葉(温めた豆乳の表面にできた膜を引き上げたものが生湯葉、それを乾かしたものが干し湯葉)が
関西で発達したのに対し、納豆は「水戸納豆」に代表されますように
東日本や、また九州でよく食べられています。
納豆づくりは、煮たダイズを藁苞(わらづと)で包んで、
稲藁の中にある菌を用いて、室の中で発酵させる方法をとっていましたが、
最近では、煮豆に直接菌をつけて発酵させる施設でつくられるので、
藁苞のまま売られる納豆は見かけなくなりました。
ダイズの栽培は5000年前、中国の黄河流域で始められ、
日本には弥生の初期に伝来しました。「古事記」や「日本書紀」にもダイズのことが明記されています。
農林水産省の令和元年のデータによりますと、日本人が1年間に食べるダイズの消費量は
平成29年で、約357万トンですが、そのうち約243万トンはサラダ油などの精油に使われ、
残りのうち、約99万トンが、豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどの食品用として利用されています。
しかし、平成30年度の国産ダイズの生産量は、24万5千トンで、大部分は輸入物です。
ダイズの約35%はタンパク質です。アミノ酸バランスから見ましても肉類とあまり変わりません。
肉食をしない僧侶にとって、タンパク質の供給に知恵をしぼったあげく、
最良の代替品として珍重したのがダイズでした。
精進料理にダイズの加工食品が多いのも、食べた時の健康効果が高いからです。
肉を口にしなくても、ダイズを食べていますと、身体の調子が上向くことを知っていたのです。
平安時代の医術書である「医心方」(いしんぽう)も、
食べた時の効能について「炒って粉にしたものは、味は甘、胃中の熱を治し、腫れを除く」とか、
「便の通じをよくする」「蒸したり、煮たりして、久しく食べると、腸や胃を丈夫にする」と述べています。
有明や納豆腹を都まで 一茶
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」415号(2020年7月6日発行)に掲載された記事です。
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