アジ
大衆魚の代表格だったアジも、経済の高度成長と共に海の汚染や乱獲などですっかり資源が細り、
最近では高級魚の仲間入りをしてしまいました。
そして、日本近海の不漁を補うために、外国から生魚の輸入が増えてきています。
昔からアジは親しまれていて「暑いことたらいの中であじを呼び」、
夕方、行水を使いながら、行商のアジ売りを呼んだと川柳に詠まれているぐらいです。
種類が多く、アジ科の魚には側線の後ろの方に
俗に竹莢(ぜんご)という菱形のヨロイのような堅いウロコがあります。
普通アジというとマアジのことで「味が美味しいからアジ」「アジとは味なり」などといわれるアジですが、
やはり一番味がよいのはマアジの塩焼きかも…。
漁師料理からすっかり一般化してしまったたたきもよし、
塩と酢で〆たアジの酢〆、天ぷら、フライも結構いけます。
アジの味覚の最大の特徴は、クセのない旨味にあふれているからでしょうか。
アジはタンパク質を構成しているアミノ酸のバランスがとてもよいので、タンパク質の供給源となります。
また、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)をたくさん含んでいるので、
コレステロールを下げ、動脈硬化や高血圧など循環器系の病気の予防には適切な食べ物です。
江戸時代の『本朝食鑑』によると
「春の末から秋の末にかけてとれ、20センチ位で太っているのがうまい」とあります。
これは、今の食べ頃と一致します。昔はアジの旬は、盂蘭盆の精進が終わる夏までで、
アジを売る魚屋は鮮度を吟味して太陽が西に傾きはじめると、
ピンと反り返ったアジを売りにきたと伝えられています。
当時中毒の予防には茄子がよいと信じられていて、
アジを食べるときには茄子を食べることを忘れなかったそうです。
近頃は大分県でとれる「関アジ」というブランド魚が流通しています。
値段も高く、味もまあまあですが、本物の関アジかどうかをキチンと確かめてから手にした方がよさそうです。
ささ塩を振って客まつ小鯵かな 井月
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」207号(2003年3月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
|
略歴 |