正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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激変する時代、あなたはどうする

早いもので新しい年を迎えて、一月がたちました。穏やかな一年になりますよう願いはしましたが、この間も日本は騒々しく、安心して子どもを遊ばせることもままならず、食の安全も揺るぎ、経済的にも大きなダメージを受ける事件が続きました。また、大雪による自然の力にあらためて感服させられたしだいです。難儀な出来事のほとぼりが冷めるまで、春まで丸まっているわけにはいきません。来るべき時代に向けて、何をすべきか準備をする時なのかもしれません。

わが国の政策は二〇一五年がひとつのポイントになっています。急激に進む高齢化、成長が鈍化する日本経済、頭打ちの財政歳出のためです。医療・保健・福祉、そして教育もそうです。そのため、二一世紀を「知識基盤社会」の時代ととらえ、高等教育システムの量と質、両面からの発展を目指す施策が提言されています。医療保険も介護保険も今年は大きく見直される年。これまで受けていたサービスが受けられない人も出てきそうです。

来るべき「知識基盤社会」とは、社会情勢が激変し、資本よりも知識が重要視される時代です。どの領域や現場でも、知識労働者が求められることになります。知識を専門化して成果を上げることができるのが知識労働者です。知識労働者としては、①常に社会情勢に関心を払いながら、時代のニーズをキャッチすること、②一人ひとりのクライアントに信頼されること、③きちんと説明できる根拠に基づきサービスを提供すること、④確実なサービスの効果を上げること、⑤外部に情報を発信すること、が必要なようです。

そんな時代には、私たちの賢い消費者や知識労働者になる努力が、これからの社会を支えることになるかもしれません。まずは、自己決定するために必要なものを得ることです。信頼できる専門家をみつけ、その判断は専門家に任せるのではなくともに行う。真摯さのないものは拒否する姿勢が必要と考えます。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」242号(2006年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。