正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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阪神の優勝が認知症を改善させた!

認知症は、覚えられなくなることや物忘れなどの記憶障害、時間や場所がわからなくなる見当識障害、段取りや意思決定が難しくなる理解力・判断力の低下などが代表的な症状です。この主な症状に加え、行動・心理の症状、すなわち周辺症状と言われるものがあります。これらは、周囲のサポートする人を困らせるものであり、多くの方が不安に感じるだけでなく、社会問題としても深刻となっています。

この認知症の患者を対象とした研究のひとつに、阪神タイガースの優勝が症状改善に繋がる可能性があるという結果が報告されています。大阪の阪神ファン患者のカルテを分析したところ、2023年セリーグ優勝後に認知症の周辺症状のスコアが大きく低下していることがわかったのです。特に、攻撃的暴言や無関心・無気力、興奮、昼夜逆転、抑うつ気分と  いった周辺症状が有意に低下していたのです。また、症状が軽い患者に改善がみられる傾向もあったそうです。これらの結果は応援するチームの勝敗が、お気に入りのチームを持つ認知症患者の周辺症状の変化と関連している可能性を示すものでした。

なんでも、阪神ファンの患者が優勝後の診察時に、機嫌よくスムーズに診察を進める印象を持ったことが研究のきっかけだったそう。もちろん19例という少ない事例であり、限られていますので、阪神を応援すればよいという簡単なものではありませんし、過度な期待は持てません。

ですが、うれしい、楽しいという気持ち、喜びを感じることは、やはり心身によい影響を与える可能性を示しています。早期の発見、対応も必要で、環境を整えることも大切です。生活習慣病との関連性の高さも言われています。生活を見直す必要性を感じます。

認知症予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、そして社会との繋がりを持つことが大切です。スポーツ観戦もその一つとして、認知症予防に役立つ可能性があると言えるでしょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」487号(2026年7月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。