正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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春のストレス

3月は気温の低い日が多かったので、春がとにかく待ち遠しい。春はわくわく気分にしてくれる季節です。けれどその一方で、環境や役割の変化の起こる時なので、ストレスが溜まりがち。上手にストレスを解消することが大切です。

ストレスは仕事の生産性を下げたものにします。それだけではなく、人間関係も悪くなります。多くの人が月曜日から金曜日まで働き、土日の週末がお休みという1週間で生活しています。週末に心身の疲れをとることができると良いですが、現実には十分に休めずに、休日が終わってしまうことはありませんか。結果、日曜日の夕方に憂鬱になる「サザエさん症候群」や月曜日の朝にやる気の出ない「マンデーブルー」になってしまいます。

そこで、ストレスはとにかく貯めない、ストレス解消は先送りにしない、「その日のうち解消」の生活に切り替えることです。1週間我慢するのではなく、その日のうちに少しずつ解消しておくという方法です。誰でも効果を実感しやすいのは運動です。運動した後の爽快感は生活習慣病の予防だけでなく、メンタルヘルスにも良い影響を及ぼすのです。

運動すると、自律神経のうちの交感神経が活性化されます。交感神経の活性化は、意欲的でポジティブ思考にしてくれます。加えて、運動に対する交感神経の効果は2つあります。ストレスに積極的に立ち向かおうとするエンドルフィンが分泌され、気分の高揚感や幸福感などが得られます。もう一つは、脳の情報伝達のバランスを整えるセロトニンが増えます。これが増えると、心が落ち着きさわやかな気分になります。集中力も高まり、不安感や抑うつ感が軽減されます。

運動習慣のない人に運動しましょうと言ってもなかなか難しいです。ウォーキングやランニング、サイクリング、水泳などリズミカルな運動がおすすめです。足踏みや腹式呼吸でも十分です。まずは1日15分、好きな音楽を聴きながら、始めてみませんか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」460号(2024年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。