正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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春眠暁を覚えず

本来の意味は春の夜は心地よく、朝になったことも気づかず眠り込んでしまうこと、と解説されています。夜明け前に目が覚めなくても済む暖かさになったということです。春は眠い、というわけではないのですが、そういう使い方が多くされているかもしれません。

しかし、確かに春は眠い。これは春になると新陳代謝が活発になることが原因といわれています。血液が体の隅々にまでいきわたる。皮膚や髪が新しく作りかわる。食欲が増進し血液が胃腸に集まり消化吸収活動を行う。これらの結果として脳に血液がいかず、エネルギー不足になり眠くなってしまうのです。

眠くて仕方のないときは、カフェインを取るのではなく、ビタミンB1を多く含む食品をとるほうが健康的です。特に、玄米、そば、ナッツ、豆類は良いです。ビタミンB1は、糖質を効率よくブドウ糖に分解し、エネルギーに変えるために不可欠な栄養素です。なので、不足すると眠くなってきます。ビタミンB1は水溶性なので、蓄積されません。常にとることが必要です。

アメリカの研究に高齢男性では、睡眠の質が悪いと、意思決定、間違いの修正、問題解決、抽象的思考などの精神機能が低下する危険性が高まるというものがあります。これは5歳年をとるのと同程度だそうです。睡眠時間は影響しなかったようです。

質の良い睡眠とは、深い眠りが取れているということです。深い眠りの間に脳がしっかりと休めるからです。

睡眠を誘発するホルモンの「メラトニン」を作るために必要なのは、トリプトファンというアミノ酸です。基本的には食品中のたんぱく質が多いほど、多く含まれます。深い眠りにつながる栄養素をとることが大事です。

ん。寝る前3時間は食事をしない心がけが必要です。これがなかなか難しいですね。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」341号(2014年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。