正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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オウレン

     - クスリになる食べ物

貝原益軒の『大和本草』(一七〇八)には、「日本の黄連性よし、故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記してあります。オウレンは現在でも、数少ない日本からの輸出薬草の一つです。オウレンは漢名を黄連(本来はシナオウレンのこと)といい、この音読みから名づけられたものです。

黄連は、需要の多い有名な薬草です。ほとんど無臭ですが、肥大して、横断面が鮮黄色で苦いものがよく、苦味成分のベルベリン、パルマチン、オウレニン、コプチシン(いずれもアルカロイド)などが三~七%含まれているものが良質とされています。

日本では、昔から根茎を煎じた汁で目を洗って眼病を治し、吐血、鼻血、喀血、痔出血、外傷出血、また胃腸が原因の精神不安、不眠、炎症など健胃整腸薬に用いられ、これらに重用された多数の処方があります。漢方では上半身の炎症や充血、精神不安、みずおちのつかえ、下痢などの症状にも、幅広く使われています。

オウレンは常緑のキンポウゲ科の多年草です。北海道から本州、四国に分布し、日陰や、昼なお暗い針葉樹林の下でも育ちます。寒さには強いが、暑さと乾燥には弱い植物です。

黄連や鳥さへ鳴かぬ
山の奥 (黄文)

自生種には菊の葉に似たものをキクバオウレン、芹の葉に似たものをセリバオウレンといい、このほかミツバオウレン、バイカオウレン、サツマオウレンなどがあります。

平安時代の「延喜式」(九二七)には、一二の国から黄連が献上された記録があります。享保年間(一七一六~三六)には、すでに栽培化されています。現在では主として日本海側の山間部、福井、石川、鳥取、兵庫の各県に栽培農家が多く、セリバオウレンが栽培の主流となっています。

黄連を掘る子に問えば
母の病む (紫泉)

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」233号(2005年5月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。