正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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さんしょう

     - クスリになる食べ物

さんしょうの実は秋に熟して赤くなり、裂けると、その中から黒い種子がでてきます。これを乾燥して粉末にすると香辛料の粉さんしょうになります。

さんしょうは野菜ではありませんが、木の芽や葉っぱ、実、種子、すべてに優れた成分を含んでいて、日本古来の香辛料として親しまれてきました。魅力は、何といってもあの香りとピリリとした辛みですが、香気の主体はジペンテン、ゲラニオール、シトロネラールなどの精油で、辛みはサンショールという成分です。この成分にはいずれも抗酸化性があり、活性酸素が引き起こす障害を防いだり、発ガン物質を抑制したりする働きがあります。

うなぎのかば焼きには粉さんしょうがつきものですが、これはおいしさを高めるだけでなく、うなぎの脂っこさや生臭さを消して、魚毒を消去する効果もあります。一般に木の芽と呼ばれるさんしょうの若芽は、料理の飾りと考えられがちですが、効果に違いはありません。特に魚介類に添えてある場合は、食中毒防止のためにも、残さずにいただきたいものです。

さんしょうは香辛料ですから、大量に食べるものではありませんが青さんしょうは塩漬けや佃煮、若芽はみそにすり込んで木の芽あえや田楽にしてもおいしくいただけます。

薬効にも注目しておきましょう。

  • 胃腸虚弱、胃ケイレン、冷え症、腹鳴り、下痢、風邪の初期など…さんしょうの果皮を煎じて飲む。
  • 虫歯…歯の穴の開いた部分にさんしょうの粉末をつめる。
  • 歯ぐきの痛み…さんしょうのみを酢で煎じ、水で薄めてから口に含む。
  • 虫刺され…葉のしぼり汁を刺された部分につける。
  • ひび、あかぎれ…果皮の煎じ汁で温湿布する。
  • 漆かぶれ…果皮の煎じ汁で患部を洗う。

山椒をつかみ込んだる 小なべかな 一茶

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」176号(2000年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。