正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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片足で20秒立っていられますか?

体力の基準となる項目はいろいろあります。多くは持久力や柔軟性、敏捷性、平衡性で評価されます。

平衡性は、身体の姿勢を保つ能力、バランスのことです。バランスの維持は、姿勢反射によって行われます。姿勢反射は体が傾いたときに、重心を移動してバランスをとることをいいます。平衡性は体力のなかでも体を調整する能力、協応性に役立っています。

このバランス能力は2つあります。ひとつは、歩いたりとんだりする運動のなかでの姿勢の安定性をみる動的バランスです。もうひとつは、座ったときやじっと立っているときなど静止した状態での安定性を保つものです。

平衡性を保つためには、小脳や耳の三半規管の機能が関わります。加えて、重心の動揺を吸収する関節や筋の柔軟性も必要です。

バランス能力のチェック方法としては、「閉眼片足立ち」があります。両手を腰にあて、両目をつぶります。左右どちらでも立ち易い側の足で片足立ちです。高く上げなくても良いですが、上げた足は軸足に触れてはいけません。測定は2回行って、良いほうの時間をみます。40代の男性は15秒以上、女性は12秒以上あると良いです。50代では、男性が9秒以上、女性は8秒以上というところでしょうか。

「開眼片足立ち」つまり、目を開けた片足立ちの場合、20秒以上が目標です。これができない場合、脳卒中の危険性のあることが報告されています。また、片足立ちで20秒以上立てない場合、思考力や記憶力の低下と関連するという研究もあります。もちろん、これだけで脳の障害を判断するものではありません。先に記したように、筋力がない場合もふらつきます。

けれど、お金をかけずに足を上げてみることにより、注意しなければならないことに気がつくかもしれません。試してみるときには、転ばないようにがんばらないこと、ひとりでしないことです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」350号(2015年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。