正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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イタドリ

     - クスリになる食べ物

イタドリは日本中に生えているので、実に方言が多い。
たとえばドンデンガラ、スイスイコンボ、スイカンボ、キズイコ、
サシガラ、イタズイコ、デンスケ、スカンコなど。
私の古里(三石)ではドングイといって、
その季節になると酸味の効いた若芽や茎を食べて、よく遊んだものです。
秋も深まると2~3メートルに伸びたイタドリを刈りとってきて、風除けの囲いに用いたり、
ストーブの焚付けに使ったものです。古名はタジヒ(多遅)。
平安時代の『新撰字鏡』では草の一部で虎杖根をあげ、和名をイタトリとし、
当時から根を薬用に用いていましたし、『本草和名』では「虎杖、一名酸菜、苦杖、イタトリ」とあり、
食用に用いていたことがうかがえます。

虎杖の
わかきをひと夜塩につけて
あくる朝食ふ熱き飯にそへ
若山牧水

イタドリは利尿緩下剤として売られていました。
『和漢三才図会』に「虎杖根、月水を通じ五淋を流し、渇を止め、熱毒を解す。
暑月、根を甘草とまぜて煎じ飲物とす、琥珀色をして甘く美味なり」。とあります。
山菜は東北地方が本場と思われがちですが、高知も豊富に山菜を利用しています。
イタドリを煮物にする風習は高知独特のもので、ほかにあまり例がない。
イタドリの土佐煮です。ほかに白合え、五目ずし、即席漬けなどがあります。
去年の10月、久々に四国に行ってきましたが、
高知市では月曜と水曜を除き、どこかの町筋で市が開かれています。
ことに歴史の古い日曜日は別格で、高知城追手門から東へ約一キロあまりの追手筋に、
6~700軒もの店が並び、いろいろな山菜にまじってイタドリが売られますが、
すぐに売切れてしまうそうです。イタドリは、土佐を代表する山の味です。
道南の白老町に「虎杖浜」という地名がありますが、ここにはオオイタドリが群生し、
北国の雪解けを待って萌え出す若芽で、多分、そのあたり一面が、
息をのむほど鮮やかな紅色に蔽われていたことでしょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」222号(2004年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。